光の強さによるエマイユ(ステンド用顔料)の発色変化

                      

         強い光の時              弱い光の時


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 フェルメールのステンドグラスについて考える−1
  (ステンドグラスの作り手から見て気付いた事、感じた事)

フェルメールの絵画の中にステンドグラスが描かれている物が複数枚あります。
今回はこの2枚の絵のステンドグラスの部分を観察してみました。
勿論、実際のステンドグラスは現存してませんので経験上での想像ですが、
気付いた事もありますので書き留めて、また再現してみたいと思います。

上の2枚は共に1660年に描かれた物です。床の模様とかステンドグラスの絵柄
を比べてみても、同じ部屋、同じステンドグラスのようです。

17世紀のステンドグラスは色ガラスを組み合わせるというより、油絵の影響を受け
てガラスの表面にエマイユ(ガラス質の顔料)で絵付け焼成されたステンドグラスが
たくさん作られるようになりました。絵に描かれたステンドグラスも単純な鉛線の入り方
からこの種類のステンドグラスで間違いないと思います。


2枚の絵のステンドグラスに透過している光の強さに注目します。左の絵1の
ステンドグラスは斜め後らから外光が直接入って来てとても明るいのに対して、右の絵2
では曇りの日でしょうか、弱い外光なので少し薄暗い感じです。色ガラスもエマイユも
光の強弱、入射角度によって発色が変わって来ます。(上写真参照)。ステンドグラス
が晴れや曇りの日、また朝、昼、夕と光の強さ角度で表情を変える所以です。

ですから絵1のステンドグラスは色を付けるのを省略しているのではなく、壁に映る日差
しから分かるように強い光及び入射角度(ボトルの影で推測)の為、エマイユの色が
飛んでしまっていると見た方が良いと思います。ある意味画家は見たままとても忠実に
描いていると思います。
絵2では光が比較的弱い為、はっきりと色が出ています。そこで実際あったステンドグラス
はこちらの色が参考に出来ると推測できます。

次はステンドグラスの部分を拡大して色々と見てみます。
フェルメール2)へ続く。


                

Glass Field

(紳士とワインを飲む女)1660
         絵 1

(2人の紳士と女)1660
         絵 2

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